--- title: キー付きコレクション slug: Web/JavaScript/Guide/Keyed_collections tags: - Collections - Guide - JavaScript - Map - 'l10n:priority' - set translation_of: Web/JavaScript/Guide/Keyed_collections ---
本章では、キーによって順序付けされたデータのコレクションを紹介します。Map および Set オブジェクトは挿入順に反復処理を行える要素を保持します。
Map オブジェクトECMAScript 2015 で値と値とをマッピングする新しいデータ構造が導入されました。{{jsxref("Map")}} オブジェクトはシンプルなキー / バリューマップで、挿入順に要素を反復処理することができます。
次のコードでは Map を用いたいくつかの基本的な操作を表しています。また、追加の例や全ての API については、{{jsxref("Map")}} リファレンスページをご覧ください。{{jsxref("Statements/for...of","for...of")}} ループを使って、各反復処理において [key, value] からなる配列を返しています。
let sayings = new Map();
sayings.set('dog', 'woof');
sayings.set('cat', 'meow');
sayings.set('elephant', 'toot');
sayings.size; // 3
sayings.get('dog'); // woof
sayings.get('fox'); // undefined
sayings.has('bird'); // false
sayings.delete('dog');
sayings.has('dog'); // false
for (let [key, value] of sayings) {
console.log(key + ' goes ' + value);
}
// "cat goes meow"
// "elephant goes toot"
sayings.clear();
sayings.size; // 0
Object と Map との比較伝統的に、{{jsxref("Object", "objects", "", "1")}} は文字列を値にマップするのに使われてきました。オブジェクトを使うことで、キーを値に設定し、その値を取得し、キーを削除し、キーに対応する何かが格納されているかどうかを検出することができます、しかしながら、Map の方が少し便利です。
Object のキーは {{jsxref("Global_Objects/String","Strings")}} オブジェクトです、Map ならどんな値も使えるというのに。Map は簡単にサイズを取得できます。Object はサイズを手作業で追跡する必要があります。Map の反復処理は要素の挿入順に行われます。Object はプロトタイプを持っているので、オブジェクトによるマップにはデフォルトキーが存在します(これは map = Object.create(null) を使って回避できます)。Map と Object のどちらを使用すべきかを決めるには下記の 3 つのヒントが役立つでしょう :
WeakMap オブジェクト{{jsxref("WeakMap")}} オブジェクトは、キーはオブジェクトのみで、値は任意の値にできるキー / バリューのペアからなるコレクションです。キーによるオブジェクト参照は弱く保持され、そのオブジェクトへの参照が他に存在しないときはガベージコレクション (GC) の対象になります。WeakMap API は Map API と同じです。
Map オブジェクトとの違いの1つは、WeakMap のキーは列挙可能ではないことです(すなわち、キーのリストを取得するメソッドがありません)。もしも列挙可能であれば、リストは非決定性をもたらす、ガベージコレクションの状態に依存することになってしまいます。
詳細やサンプルコードについては、{{jsxref("WeakMap")}} リファレンスページの「なぜ WeakMap なのか?」もご覧ください。
WeakMap オブジェクトのよくある使用方法のひとつとして、オブジェクトに対するプライベートデータの格納、あるいは実装の細部の隠蔽があります。次の例は Nick Fitzgerald 氏のブログ投稿、"Hiding Implementation Details with ECMAScript 6 WeakMaps"(ECMAScript 6 WeakMaps を使って実装の詳細を隠蔽する)です。プライベートなデータとメソッドはオブジェクトの内部に属していて、プライベートな WeakMap オブジェクトに格納されています。インスタンスから露出する全てとプロトタイプは公開されています、他の全てのものは外部よりアクセスできません。privates はモジュールから export されていません。
const privates = new WeakMap();
function Public() {
const me = {
// ここにプライベートデータが置かれる
};
privates.set(this, me);
}
Public.prototype.method = function () {
const me = privates.get(this);
// `me` にプライベートデータを詰め込む…
};
module.exports = Public;
Set オブジェクト{{jsxref("Set")}} オブジェクトは値によって構成されるコレクションです。挿入順に要素を反復処理することができます。Set の 1 つの値は 1 回だけ出現します; Set のコレクションでは値は一意です。
次のコードでは Set を用いたいくつかの基本的な操作を表しています。また、追加の例や全ての API については、{{jsxref("Set")}} リファレンスページをご覧ください。
let mySet = new Set();
mySet.add(1);
mySet.add('some text');
mySet.add('foo');
mySet.has(1); // true
mySet.delete('foo');
mySet.size; // 2
for (let item of mySet) console.log(item);
// 1
// "some text"
Array と Set 間の変換{{jsxref("Array.from")}} または スプレッド構文 を使用して Set から {{jsxref("Array")}} を生成できます。また、Set コンストラクタを使って Array から Set へと逆変換することができます。
注: Set オブジェクトは一意の値を格納することにくれぐれも注意してください、重複した要素は Array から変換するときに削除されます。
Array.from(mySet); [...mySet2]; mySet2 = new Set([1, 2, 3, 4]);
Array と Set との比較伝統的に、要素の集合は多くの状況において JavaScript の配列に格納されてきました。しかし、新しい Set オブジェクトにはいくつかの利点があります :
Set オブジェクトは値を使って要素を削除できます。配列の場合には要素のインデックを使い、スプライス(該当要素を取り除いて残りをつなぎ合わせる)操作が必要です。indexOf で検索することはできません。Set オブジェクトは一意の値を格納します、あなたが重複を気にする必要がありません。WeakSet オブジェクト{{jsxref("WeakSet")}} オブジェクトは、オブジェクトのコレクションです。WeakSet 内の 1 つのオブジェクトは 1 回だけ出現します; WeakSet コレクション内では値は一意で、オブジェクトは列挙可能ではありません。
{{jsxref("Set")}} オブジェクトとの主な違いは下記の通りです :
Set とは対照的に、WeakSet はオブジェクトのみのコレクションで、任意の型の任意の値でのコレクションではありません。WeakSet は弱い : コレクションでのオブジェクトでの参照は弱く保持されています。WeakSet 内に格納されているオブジェクトに対する参照がなくなった場合、ガベージコレクションされます。これはまた、現在コレクション内に格納されているオブジェクトのリストがないということを表しています。WeakSet は列挙可能ではありません。WeakSet オブジェクトの使用例は限定的です。メモリーリークが発生しないため、例えば、DOM 要素をキーとして使用し、監視するためにそれらにマーキングすることが安全に行なえます。
Map と Set におけるキーと値の等値性Map オブジェクトのキーの等値性と Set オブジェクトの値の等値性は両方とも、「same-value-zero アルゴリズム」に基づいています:
=== のように判定されます。-0 と +0 は等しいと見なします。=== とは逆に)自身と等しいと見なされます。{{PreviousNext("Web/JavaScript/Guide/Indexed_Collections", "Web/JavaScript/Guide/Working_with_Objects")}}